渋谷らしさと原形地

渋谷駅周辺整備のためのコンセプトの提案(2002年9月)

渋谷駅周辺地区を対象とする将来的なまちづくり構想を検討するとして 2001 年 7 月から渋谷区がすすめている「渋谷駅周辺整備ガイドプラン 21」は、当初からシンポジウムや意見交換会で計画策定段階での区民参加を図るなど、まちづくりの時代にふさわしい試みとして評価できます。

しかしながらそこで行われていた議論は二重の意味で狭すぎる枠組みを強いられたものに思われました。一つ目は、渋谷駅をめぐる議論の前提となる根幹的交通施設の将来像に関するものです。それは東京都都市計画局による「渋谷駅周辺の交通基盤等検討委員会」で検討されてきた内容のうち、地下鉄 13 号線整備及びその東横線との相互直通化については前提条件としながら、明治通りのアンダーパス化についてはそれが長期的整備構想であるとして区民に説明されず、国土交通省関東地方整備局による「渋谷地区道路空間利用検討委員会」で検討されている 246 号線のオーバーパス化についても、同じ理由からほぼ議論の埒外に置くものでした。二つ目は、区側から提出されたコア部分(渋谷駅・駅前広場・広場周辺)の再編案に使われた計画手法に関わるものです。それは巨大駅ビル、交通広場、歩行者用デッキ・地下街など、高度経済成長時代・バブル時代の駅前再開発手法の繰り返しにすぎないものでした。

そこで意見交換会に集まった区民等で相談の上、コア部分の再編とその渋谷の街との関わり方について、ここにいくつかのコンセプトを提案することにしました。それは何より上記の狭すぎる議論の枠組みを取り払い、われわれの渋谷と渋谷駅をめぐって、より創造的で活発な議論・提案を促したいためです。